年末に向けて消費意向は力強さを回復しています。消費意向得点は前月比5.5ポイント増の50.7ポイントと、1年9か月ぶりに50ポイント水準を超えました。これまで小ぶりの季節変動であったことに比べ大きくハネ上がっています。
こうした消費意欲の高まりはほぼ全層でみられ、とりわけ前月落ち込みが顕著であった「女性」、「20代および30代」の若い年代、職業別では「女性会社員」と「パート」職が大きく復調していることが特徴となっています。
暮らしシーン別の注力度をみると、前年に比べ注力指数の増加が顕著なのは「子供の教育(68.2→74.5Pp)」「食費・外食(51.0p→54.4p)」と「貯蓄(63.8p→66.4p)」です。消費意向が大きく伸びているとはいえ、子供の教育や貯蓄への傾斜が強いことには注意が必要でしょう。また、「レジャー総合」が3か月間連続して前年と比べて増加幅を広げてきており、今月は特に「観光・行楽」「趣味・文化」での注力が増加しています。
年末消費への意欲は昨年以上となりましたが、景気回復についてはどの程度の回復感がもたれているのでしょうか。11月末時点の景気回復実感者は508名中30名(5.9%)で、前月度の27名5.3%から人数、割合ともに増えています。増えているのは男性、年代的には30代で、前月の停滞感が30代の極端な少なさに起因していたこととは対照的な結果といえます。
景気回復実感者の割合が当月6%に近づいたことは景気回復のひとつの光明といえますが、2か月連続で回復実感を抱いている人(リテンション)の動きによって確認してみます。リテンションの考え方は変動に対する短期的な安定性をみるのに適しているからです。
今回のリテンション者は16名で、前月から4名増加、その割合も2.4%から3.1%へと増加しました。ちょうど今年の5月末から6月末にかけての5名増、リテンション率2.5%から3.6%へ上がった状況と酷似しています。しかし今夏の場合、肝心の7月末の商戦は冷夏にたたられ、今ひとつ盛り上がりを欠いて秋に突入しました。景気回復のこれまでの例では冬の大型ボーナスと厳冬が絡むと一気に回復は促進されるとよく言われます。今冬のボーナスと寒さが景気回復にどう作用するのか注目してみたいと思います。